チャプター

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  2. 2
  3. 3
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  10. 10
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  18. 18
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  21. 21

旧約聖書

新約聖書

ヨハネによる福音書 7 リビングバイブル (JLB)

1.  このあと、イエスはガリラヤに行かれ、村から村を巡回なさいました。 ユダヤ人の指導者たちが命をつけねらっていたので、ユダヤ以外の地に身を避けようと思われたからです。 

2. そうこうするうち、ユダヤの年ごとの祭りである仮庵の祭りが近づきました。 

3. イエスの弟たちは、祭りのためにユダヤへ行くよう、しきりに勧めました。「もっと大ぜいの人が奇蹟を見てくれるような所へ行ったらどうだい。 

4. こんな所でくすぶってても有名にはなれないよ。 兄さんがそんなに偉いんだったら、世間の人に証明してみせなくっちゃ」と、半ばあざけるように言いました。 

5. 弟たちでさえ、イエスを信じていなかったのです。

6.  「今はまだ、その時ではありません。 しかし、あなたがたはいつ行ってもいいし、いつ行こうが、別にかまいません。 

7. 世間の人に憎まれるはずもありませんから。 だが、わたしは憎まれています。 彼らの痛いところを突くからです。 

8. いいから、あなたがただけで行きなさい。 わたしは、行く時が来たら行きますから。」 

9. こう言って、イエスはガリラヤに残っておられました。

10.  しかし、弟たちが出かけたあと、人目を忍んでこっそりお出かけになったのです。 

11. ユダヤ人の指導者たちは、祭りの間にイエスを見つけ出してやろうと思い、「だれかイエスを見かけた者はいないか」と、やっきになって尋ね回りました。 

12. 確かに、イエスのことはいろいろ話題になりました。 「あの方はすばらしい方だ」とほめる者もいれば、「いや、違う。 とんだ食わせ物だ」と非難する者もいます。 

13. しかし、だれも指導者たちの仕返しを恐れ、表立ってうわさするほど大胆な人はいませんでした。

14.  祭りも半ばになったころ、イエスは宮へ行き、おおっぴらに教え始められました。 

15. それを聞いたユダヤ人の指導者たちは驚いて、「こいつは、一度も学校で学んだことがないくせに、どうして、こんなに深い知識を持ってるんだろう!」と言い合いました。

16.  「わたしの教えは、自分で考え出したことではありません。 わたしをお遣わしになった神の教えなのです。 

17. ほんとうに神の望まれるとおりのことをしようと思う人なら、わたしの教えが神から出たものか、あるいはわたしから出たものか、はっきりわかるはずです。 

18. 自分の意見だけをまくし立てる人は、実は、わが身がほめられたい一心なのです。 しかし、自分をお遣わしになった方の栄誉を求める人は、正直者です。 

19. 自分ではモーセのおきてを守らないのに、どうして、おきてを破ったと、わたしを非難するのですか。 どうして命までつけねらうのですか。」

20.  群衆が答えました。 「おい、気でも変になったんじゃないか。 だれがあんたを殺そうってんだい?」

21-23. 「わたしが安息日に病気の人を治したら、労働をしたと驚いています。 だが、あなたがたはどうでしょうか。 モーセのおきてどおりに割礼(男子が生まれて八日目にその生殖器の包皮を切り取る儀式)を施すためには〔実際は、割礼の習慣はモーセのおきてより古くからあったのですが〕、安息日でも、平気で労働するではありませんか。 割礼の日がちょうど安息日にあたっても、別だん気にもかけず、あたりまえのように割礼を施しています。 それなら、安息日に病人を元気にしてやって、どこが悪いでしょうか? 何を根拠にわたしを非難するのですか。 

24. よく考えてみなさい。 わたしの言うことはまちがっているでしょうか?」

25.  エルサレムの人々の間では、互いにこんなことが言い交わされていました。 「この人は、連中が殺そうとねらってる人じゃないか。 

26. ところがさ、今ここで、おおっぴらに話をしてるってのに、だれも何も言わないんだからな。 指導者たちも、結局は、正真正銘のキリスト様だと認めちゃったのかね。 

27. だけどさ、この人がキリスト様のわけはないよ。 どこの生まれか、身元が知れてるんだから。 キリスト様は、どこからともなく、突然、現われなさるはずだからね。」

28.  イエスは宮で、大声をあげて教えられました。 「皆さん。 確かに、わたしの生まれも、育ちもはっきりしています。 しかしわたしは、あなたがたの全く知らない方の代理なのです。 その方は真実です。 

29. わたしはその方を知っています。 その方といっしょにいたのですから。 その方がわたしをお遣わしになったのです。」

30.  ユダヤ人の指導者たちは、何とかしてイエスを逮捕しようと思いました。 しかし、実際に手を出す者は一人もいません。 まだ、その時ではなかったのです。

31.  宮にいた人々の多くは、イエスを信じ、「これだけの奇蹟をなさるからには、やっぱりキリスト様じゃないだろうか」と言い合いました。

32.  パリサイ人たちは、群衆がこう考えているとわかるや、祭司長たちとぐるになり、イエスを逮捕するために、役人を差し向けました。 

33. ところがイエスは、その人たちに言われました。 「まだその時ではありません。 もうしばらく、ここにいます。 そのあとで、わたしをお遣わしになった方のところに帰るのです。 

34. その時には、わたしを捜しても、見つけることはできません。 また、わたしのいる所に来ることもできません。」

35.  このことばに、ユダヤ人の指導者たちはすっかり面食らいました。「こいつは、いったいどこへ行くつもりだろう。 もしかしたら、ユダヤを出て、外地のユダヤ人や、あるいは、ひょっとして外国人に教えを伝えようとでも考えてるのかもしれないな。 

36. だが、捜しても見つけだせないとは、どういうことだろう。 それに、『わたしのいる所に来ることができない』とも言ったが、何のことやらまるで見当もつかない。」

37.  祭りの最後の一番大切な日に、イエスは大声で群衆に語りかけました。 「だれでも、のどが渇いているなら、わたしのところへ来て飲みなさい。 

38. わたしを信じれば、心の奥底からいのちの水の川が流れ出ると、聖書(旧約)に、はっきり書いてあるでしょう!」 

39. 〔イエスは聖霊のことを言われたのです。 御霊は、イエスを信じる人すべてに与えられることになっていましたが、この時はまだでした。 イエスが、天にある栄光の座に戻っておられなかったからです。〕

40.  イエスがこう言われるのを聞いて、群衆のうちのある者は、「この人は、確かに、キリスト様のすぐ前に来るという、あの預言者だ!」と、確信をもって言いました。 

41-42. 「この方こそキリスト様だ!」と言いきる者もいました。 しかし、「いや、そんなはずはない。 まさかガリラヤみたいな所からキリスト様は出ないだろうよ。キリスト様は、れっきとしたダビデ王の血筋で、ダビデ王の生地ベツレヘムの村に生まれると、聖書(旧約)に、はっきり書いてあるんだからな」と主張する者まで現われました。 

43. こんなぐあいで、イエスについての意見はまちまちでした。 

44. 中には、逮捕したいと思う者さえいましたが、手を出すまでには至りませんでした。

45.  イエスの逮捕に向かった宮の警備員たちは、すごすごと祭司長やパリサイ人たちのところに戻るほかありません。 「どうして、やつをつかまえて来なかったのかっ!」彼らはきびしく問いただしました。

46.  警備員たちは、口ごもりながら答えました。 「は、はい。 でも、あの人の話すことが、とてもすばらしくて……。 なにせ、これまで聞いたこともないようなお話なんですから。」

47.  これを聞くと、パリサイ人たちはあざ笑いました。 「さては、おまえたちも惑わされたな。 

48. われわれユダヤ人の議員やパリサイ人の中で、あいつをメシヤ(救い主)だと信じてる者が、一人でもいるか? 

49. そりゃあ、無知な連中は頭から信じきってるかもしらんがね。だが、やつらに何がわかるか。 罰あたり者めが。」

50.  その時、ニコデモが口を開きました。 〔そうです。夜ひそかにイエスを訪ねた、あのユダヤ人の指導者です。〕

51.  「おことばですがね、取り調べもしないうちに、有罪だと決めるのは、合法的ではありませんな。」

52.  「おや、あなたも卑しいガリラヤ人なんですか。 まあ、聖書(旧約)を調べることですな。 ガリラヤから預言者など出るはずがないことを、ご自分の目で確かめたらどうです。」

53.  こうして、一同は散会し、めいめい家に帰りました。赦された不倫の女