1. ところで皆さん、生きて神様の約束の国に入り、自分のものにしようと思うなら、これから教える法律を注意深く聞き、そのとおり守りなさい。
2. ほかの法律を加えたり、ある部分をかってに削ったりしてはいけない。 神様の法律なのだから、何も言わず、黙って従うのだ。
3. 神様が偶像バアル・ペオルになさったことは見たでしょう。 そんな偽りの神を拝んだ者はみな、罰があたって死んでしまった。
4. しかし、神様に忠実だった者たちは、今もまだ元気だ。
5. いいですか、これから住みつく国へ行ったら、この法律をきちんと守りなさい。 これは神様からじきじきに示された法律で、あなたがたに伝えるようにと言われたのです。
6. これを守れば、知恵のある賢明な国民だと評判になるでしょう。 回りの国々がこの法律を知ったら、『イスラエル人ほど賢明で、物のわかった国民はいない』と驚くに違いありません。
7. どんな国でも、呼べば必ずそばにいてくださる、私たちの神様のような神を信じている国はありません。
8. どんなに偉大な国でも、きょう私が教えるような正しい法律をもつ国はありません。
9. 気をつけなさい。 まちがっても神様がしてくださったことを忘れてはいけません。 これから先もずっと、神様のなさった奇蹟を思い出しなさい。 子供にも孫にも、すばらしい奇蹟のことを話してやりなさい。
10. 特に、ホレブ山(シナイ山)で神様の前に立った日のことは大事です。 あの時、神様は私にこう言われました。 『人々を集めなさい。 わたしを大切にし、わたしの法律を子供たちに教えられるように、まずわたしが、彼らを教えよう。』
11. あなたがたはふもとに立っていましたが、山には黒雲がたれこめ真っ暗で、赤々と火に包まれ、炎は天をこがしていました。
12. その時、炎の中から神様の声が聞こえたのです。 お姿は全く見えません。
13. こうして神様は、守るべき法律として十戒をお示しになりました。 それは二枚の石板に記されました。
14. そして私は確かに、それをあなたがたに与えるようにと命じられたのです。 約束の国へ行ったら、そのとおり守らなければなりません。
15. 気をつけなさい。 あの日ホレブ山で炎の中からお語りになった時、神様の姿は見えなかったのです。
16-17. ですから、神様の像を作ってはいけません。 そんなことをしたら、正しい信仰をなくしてしまいます。 どんな像も作ってはいけません。 男だろうが女だろうが、あるいは動物、鳥、
18. 地をはう小さな動物、魚だろうが、絶対にいけません。
19. また、太陽、月、星などを拝むのもよくありません。 外国人は大目に見られても、あなたがたはそうはいきません。
20. 何といっても、あの牢獄のようなエジプトから救い出し、特別な国民として宝物のように大切に守ってくださるのは、この神様だからです。 今こうしていられるのも、みな神様のおかげです。
21-22. しかし、まずいこともありました。 あなたがたのことで私は神様の怒りを買い、ヨルダン川を渡って約束の地へ行けなくなったのです。 あなたがたは、あのすばらしい地をいただくことができます。 しかし私は、ヨルダン川のこちら側で死ななければなりません。
23. 神様が結んでくださった契約をあなたがたのほうから破らないよう、くれぐれも注意しなさい。 どんなものでも、神様がいけないと言われた偶像を作るのは契約違反です。
24. 神様は背く者を激しく憎み、焼き尽くす火のように徹底的に罰するお方だからです。
25. 将来、あの国に住みつき、子供や孫が生まれてから、正しい信仰を捨て、偶像を作りでもしたら、神様はきっとお怒りになります。
26. すぐさま滅ぼされるのがおちです。 もうすぐヨルダン川を渡り、あの国を征服しますが、なにほども住まないうちに、全滅させられてしまうでしょう。
27. 生き残るのはほんの一にぎりで、その者たちも国々に散らされます。
28. やがてその国々で、見ることも、聞くことも、食べることも、かぐこともできない木や石の偶像を拝むようになるのです。
29. しかしあなたがたは、もう一度、神様を慕い求めるようになります。 心からせつに慕い求めれば、神様は必ず見いだせます。
30. 苦しい時を過ごしたあと、ついに神様のもとへ返り、その教えに従うようになるのです。
31. 神様は思いやりのあるお方だから、あなたがたをすげなく見捨てたり、滅ぼしたりはなさいません。 ご先祖への約束は必ず果たしてくださいます。
32. 神様が地上に人間をお造りになって以来、このような事があったかどうか、くまなく調べてみなさい。
33. 全国民が、恐れ多くも炎の中から語られる神様の声を聞き、それでもなお生き長らえている国民が、ほかにいるでしょうか。
34. あるいは、恐ろしい伝染病や目をみはるような奇蹟を起こし、激しい戦いに勝って国々を恐れさせ、奴隷となった国民を救い出した神が、ほかにいますか。 私たちの神様は、まさにそのとおりのことを、エジプトで、あなたがたの目の前でなさったのです。
35. ご自分こそほんとうの神であり、ほかに神はいないことをわからせるためです。
36. 天からの声、地に燃え上がる巨大な火の柱、炎の中から語られる神様の声、何もかも驚くことばかりでした。
37. 神様はご先祖に特に目をかけ、その子孫を祝福しようとお決めになりました。 だからこそ、あのようなすばらしい奇蹟を行ない、あなたがたをエジプトから救い出されたのです。
38. そればかりではありません。 あなたがたよりはるかに強い国民を追い出し、現在のように、その国々をあなたがたのものとしてくださいました。
39. だから、これだけは忘れないようにしなさい。 天にも地にも、この神様のほかに神はないのだと。
40. 神様が下さる国で子々孫々しあわせに暮らしたかったら、きょう私が与える法律を守りなさい。」
41. このあとモーセは、ヨルダン川の東側にある三つの町を特別に選んでおくように、と命じました。
42. 過って人を殺した者が逃げ込むためです。
43. 町は、ルベン部族の領地からは荒野の高地にあるベツェル、ガド部族の領地からはギルアデにあるラモテ、マナセ部族の領地からはバシャンにあるゴランが選ばれました。
44-46. 次に記すのは、イスラエルの人々がエジプトを出て、ヨルダン川の東側、ベテ・ペオルの町の近くに野営していた時、モーセが語った法律です。 ここは以前エモリ人の領地で、首都をヘシュボンにおき、シホン王が治めていましたが、モーセとイスラエルに滅ぼされたのです。
47. イスラエルはさらに、ヨルダン川の東側に勢力を張る、もう一人のエモリ人の王オグを滅ぼし、バシャンを征服しました。
48. こうして、アルノン渓谷沿いの町アロエルからシーオン山、またの名をヘルモン山に至る全地域、
49. つまり、ヨルダン川の東側全域と、その南に広がるアラバの全域、ピスガ山の傾斜地のふもとにある塩の海までを征服したのです。