10. 獣の遠ぼえの聞こえる寂しい荒野を行く時、神様はまるで自分の目のようにイスラエルを守られた。
11. わしが翼を広げひなを乗せて飛ぶように、神様はその国民を翼に乗せて運ばれる。
12. 神様だけがイスラエルを指導し、国民も外国の神々を知らずにいた時は、
13. 丘は豊かな実りを約束し、ゆるやかに起伏する畑は肥えていた。岩からはち蜜が、石地からオリーブ油が採れた。
14. そのほかにも、乳と肉バシャンの極上の雄羊と雄やぎ最良の小麦あわ立つぶどう酒と、何でも欲しいだけあった。
15. イスラエルはじきに満腹し、丸々と太った。ぜいたくに慣れて威張りだし、すげなく神様を捨てた。救いの岩に肩をすくめてみせた。
16. イスラエルは外国の神々のあとを追い、神様の激しい怒りと恨みを買った。
17. 事もあろうに、外国の神々それまで拝んだこともない神々にいけにえをささげたのだ。
18. 生みの親である岩をけとばし、いのちを与えてくれた神様を忘れるとは。
19. 神様はそれを見て憎しみに燃えた。自分の息子、娘たちに侮辱されたからだ。
20. とうとう神様は言われた。『強情で不信仰な連中などもう知るものか。どんなことになるか見ているがいい。
21. 恨みを買ってでもまやかし物の偶像を拝みたいのか。だったらお返しをしてやろう。おまえたちを捨て、無知な異教の諸国民に救いを与えてやるから、さんざん恨み事を言うがいい。
22. 怒りの炎は燃え上がり、地とその産物を焼き尽くし、山々をなめ尽くす。
23. 息つく間もなく災いを下し、次々と矢を放ち、射倒そう。
24. 飢えと熱病と不治の病で痛めつけてもかまわない。容赦なく滅ぼしてやるのだ。野獣が彼らを八つ裂きにし、毒蛇は獲物を求めて地をはい回る。
25. 外には敵の剣、内には伝染病。老人も、若者も、乳飲み子さえも逃れられない。
26. あげくの果ては、遠い国へ散り散りに追いやろう。彼らがいたことさえ忘れさせるために。
27. だが、ちょっと待て。それでは敵の思うつぼだ。「われわれがイスラエルを滅ぼした。神様なんかじゃない」と大口をたたかせることになる。』
28. イスラエルはまぬけな国、大ばか者の、わからず屋だ。