チャプター

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旧約聖書

新約聖書

哀歌 1 リビングバイブル (JLB)

1. 一度は人々でにぎわっていたエルサレムの通りが、今はひっそり静まり返っています。 世界の女王ともてはやされたこの都が、今では奴隷となり、悲しみに沈む未亡人のように、座り込んで嘆いています。

2. 彼女は夜通し泣き、涙がとめどなく流れます。 恋人たち〔エジプトや他の同盟国〕は、だれひとり声もかけてくれません。 今ではみな、敵に回っているからです。

3. ユダは労役で悩み苦しんだあげく、奴隷として遠い国へ連れて行かれたのです。 今は征服者の手に落ち、外国で不安な毎日を過ごしています。

4. シオン〔エルサレム〕への道は、神殿での例祭を祝うにぎやかな参拝客の列もとだえ、すっかりさびれて、憂いに沈んでいます。 都の門はさびつき、祭司たちはうめき、おとめたちは悲しみに打ちひしがれています。 シオンは泣き伏しています。

5. 敵がわがもの顔に振る舞っています。 エルサレムの多くの罪のために、神様が罰を加えたからです。 幼い子供たちは捕まり、奴隷として遠くへ連れ去られました。

6. シオンの美しさも威厳も、すっかりなくなりました。 指導者たちは、あてもなく牧草地をうろつく飢えた鹿のようで、敵に出会っても逃げる力さえありません。

7. エルサレムは悲しみのどん底にあって、過ぎ去った楽しい日々を思い浮かべます。 今はもう、だれひとり援助の手を伸ばしてくれる者はなく、あえなく敵に屈し、あざけりの的となっています。

8. エルサレムは罪に罪を重ねたので、汚いぼろきれのように捨てられました。 丸裸にされ、人前に尻をさらしているので、かつては尊敬の眼で見つめた人たちも、今では軽べつのまなざしを向けるだけです。 あまりの恥ずかしさに彼女はうめき、顔を隠します。

9. この都は不品行の罪にうつつを抜かし、まちがいなく刑罰が下るという事実を認めませんでした。 今ではどぶに落ち込んでいますが、だれも引き上げてくれないので、こう叫びます。 「ああ神様、私の不幸に目を留めてください。 敵はあんなに勝ち誇っています。」

10. 敵は貴重品を一つ残らず取り上げ、無一物にしました。 そればかりか、神聖な神殿を荒らし回りました。 そこに入ることさえ神様に禁じられた外国人たちが、です。

11. 民はうめき、血眼になってパンを捜し求めます。 持ち物をぜんぶ売り払い、少しでも体力を回復しようと、食べ物をあさります。「神様、ご覧ください。 私がどんなにさげすまれているかを知ってください」と、エルサレムは祈ります。

12. 道行く人よ、何とも思わないのですか。 神様が燃える怒りの日に、こんなにも私を悩ませたのです。 これ以上の悲しみを見たことがありますか。

13. 神様が天から送った火は、私の骨の中で燃え続けています。 神様は私の道に落とし穴を掘り、私を追い返しました。 私を病気にしたまま置き去りにし、つらい思いをさせました。

14. 神様は私の罪を編んで綱とし、それで私を引いて、奴隷のくびきに結びつけました。 私を骨抜きにして、敵の手に渡しました。 私は敵のなすがままになっています。

15.  神様は味方の勇士をみな踏みにじりました。 神様の命令によって強力な軍隊が押し寄せて来て、気品のある若者たちを倒しました。神様は愛する都を、酒ぶねのぶどうのように踏みつぶしました。

16. 私は泣きに泣きます。 私を助けるのは神様だけだというのに、神様は私を慰めもせず、遠く離れて立っています。 子供たちに未来はありません。 私たちは征服された民族です。

17. エルサレムは助けを求めて哀願しますが、だれも慰めてくれません。 神様ご自身が、こう言ったからです。 「隣人が敵となれ。この都は悪臭を放つぼろきれのように、投げ捨てられてしまえ。」

18. 神様がこう言うのも、もっともなことです。 私たちは神様に反逆したからです。 しかし、すべての国の人よ、一かけらの望みさえない私の苦悩に目を留めてください。 息子も、娘も、奴隷として遠い国へ連れて行かれました。

19. 私は同盟国の助けを求めましたが、彼らは少しも役に立たず、がっかりするばかりでした。 祭司も、長老も、同じことでした。 彼らは、残飯をあさってうろつきながら、町の中で飢え死にしたのです。

20. 神様、私の苦しみに目を留めてください。 私の心は傷つき、たましいは絶望にあえいでいます。 私が神様にひどく背いたからです。外に出ると、剣が待ち伏せし、家にいても、病気と死がつかまえて放しません。

21. 私のうめき声を聞いてください。 助けてくれる者はどこにも見あたりません。 敵は私が苦しんでいるのを聞きました。 彼らは、神様が私に罰を加えたと知って、喜んでいます。 しかし神様。 お約束どおり、彼らも私と同じ目に会う時が、きっと来るはずです。

22. 神様、彼らの罪にも目を留め、私と同じように、罰してください。私はため息をくり返し、心はしおれきっているからです。