16. そうすれば、われわれもあなたたちの部族から嫁をもらうし、お互い親戚同士になれるというわけです。
17. いやなら、しかたありません。 妹を連れてここから出て行きましょう。」
18-19. ハモルとシェケムは喜んで提案を受け入れ、すぐさま言われたとおりにすることにしました。 シェケムはディナを深く愛していたので、この計画を町のほかの男たちに勧めるのは、少しも苦ではありませんでした。 それに、彼は人気があり、町の人たちから尊敬されていたのです。
20. ハモルとシェケムは町の議会で提案しました。
21. 「あの人たちは味方だ。 ここに住んでもらって、自由に商売してもらおうじゃないか。 土地は十分あるから心配ない。 彼らと親戚になったら、大いに有利だと思う。
22. ただ、そのためには一つだけ条件がある。 男はみな、彼らと同じように割礼を受けなければならないというんだ。
23. 簡単なことじゃないか。 ただそれだけで彼らのものは全部われわれのものになり、この土地も豊かになる。 どうだみんな、あの人たちがここに住めるように、この提案に賛成してくれないか。」
24. 全員が賛成し、割礼を受けました。
25. ところが、それから三日後、傷がまだ治りきらず、少しでも動けば痛くてたまらないころ、ディナの兄シメオンとレビが、剣を振りかざして町に攻め込んで来たのです。 何の反撃もできません。 一人残らず殺されてしまいました。
26. ハモルもシェケムも殺されました。 二人はディナをシェケムの家から取り返し、テントに連れ帰りました。
27. そのあと、ヤコブの息子が全員で町を略奪しました。 妹がそこで辱しめられたからです。
28. 町の中にある物も外にある物も、羊と言わず、牛と言わず、ろばと言わず何もかも奪い、
29. 女子供は捕虜にし、全財産を取り上げてしまいました。
30. そのやり方のひどさにヤコブはあきれ、レビとシメオンを責めました。 「おまえたちのおかげで、わしはすっかり憎まれ者になってしまった。 付近に住むカナン人やペリジ人は、わしのことを、さぞかし血も涙もないやつだと噂するだろう。 こんな小人数じゃ、連中に攻められたらひとたまりもない。」