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出エジプト記 32:10-29 リビングバイブル (JLB)

10. もう容赦はできん。 こうなったら皆殺しだ。 邪魔だてはするな。 モーセよ、連中の代わりに、おまえを大きな国にしよう。」

11.  しかし、モーセは必死でお願いしました。 「神様、御みずからあれほど大きなお力を示し、すばらしい奇蹟をもって、ご自分の国民をエジプトから救い出されたのではありませんか。 その国民に、なぜそのようにお怒りになるのでしょう。 

12. そんなことをなさったら、エジプト人は何と言うでしょう。 『ふん、イスラエルの神は連中をだまして山へ連れ出したんだ。 その証拠に、見ろよ、やつらは一人残らず殺されちまった』とあざけるかもしれません。 どうぞ怒りをおさめてください。 そんな恐ろしいさばきは、思いとどまってください。 

13. 神のしもべアブラハム、イサク、イスラエル(ヤコブ)に約束されたことを、思い出していただきたいのです。 『おまえの子孫を空の星のようにふやそう。 約束の地をすべておまえの子孫に与え、永遠に受け継がせよう。』 こう誓われたではありませんか。」

14.  そこで、神様も思い直し、人々のいのちを助けることにしました。 

15. モーセは山を降りました。 手には、十戒を両面に記した二枚の石板を持っています。 

16. 神様がみずから戒めをその板に記したのです。

17.  やがて、ふもとの方から人々の叫び声が聞こえてきます。 ヨシュアはモーセに言いました。 「まるで戦争でもしているような騒ぎですね。」

18.  「いや、あれは勝利の叫びでもないし、敗北のうめきでもない。 歌って騒いでいるのだ。」

19.  野営地に近づくと、子牛の偶像と踊り狂っている人々の姿が目にはいりました。 それを見たモーセは、むらむらと怒りがこみ上げ、思わず石板を地面に投げつけました。 それは山のふもとで、木端微塵に砕けました。 

20. 彼はやにわに子牛の像をつかみ、火にくべて溶かし、冷えると、今度は粉にして水にまき散らし、人々にむりやり飲ませました。

21.  それからアロンに向き直り、きびしく問い詰めました。 「いったい何があったんです? ただ事じゃありませんよ。 兄さんも兄さんだ。 いっしょになってこんな恐ろしい罪を犯すなんて、どういうつもりなんです?」

22.  「まあ、そんなに興奮しないでくれ。 おまえも知ってるだろう。 あいつらときたら、ひどいやつばかりだ。 

23. 『おれたちを導く神様を作ってくれ。 エジプトからおれたちを連れ出したモーセのやつは、きっとどうかなっちまったんだ』と詰め寄ってな。 

24. それで、『金のイヤリングを持って来い』と言ってやったんだ。 するとどうだ。 みんな持って来るじゃないか。 それを火に投げ込んだらこの子牛が出て来た、というわけだ。」

25.  アロンにはまるで反省の色がありません。 人々がみだらな行為にふけるのを、黙って見ているばかりです。 これでは敵の物笑いもいいところです。 

26. 堪忍袋の緒が切れたモーセは、野営地の入口に立って叫びました。 「神様につく者、私と行動を共にする者は、ここに集まれっ。」 すると、レビ部族が全員集まりました。

27.  モーセはその面々に命じました。 「イスラエルの神、主が言われる。 『剣を持って野営地中を駆け巡り、兄弟だろうが、友だちだろうが、知り合いだろうが、皆殺しにしろ。』」 

28. 彼らは命令どおりにしました。 その日、約三千人の男が死にました。

29.  モーセはレビ部族に言いました。 「きょう、あなたがたはりっぱに神様に仕えた。 息子や兄弟を殺してでも、神様に従った。 きっとすばらしい祝福があるだろう。」

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