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出エジプト記 2:9-21 リビングバイブル (JLB)

9.  「お礼は十分しますから、この子を連れて行って、私の子として育ててください。」 王女は子供の実の母親とも知らず頼みました。 もう何の遠慮もいりません。 彼女は子供を抱いて家へ帰りました。

10.  やがて、その子は大きくなり、養子として正式に、王女のやしきへ引き取られました。 王女は彼をモーセ〔「引き出す」の意〕と名づけました。 水の中から引き出した子供だからです。

11.  それから何年かたちました。 モーセはりっぱに成長し、一人前の大人になっていました。 ある日、彼は同胞のヘブル人を訪ねようと外出したのです。 ところが、目にしたのは、あまりにもひどい有様でした。 初めて同胞の苦しみを知ったモーセの血は騒ぎました。 ちょうどその時、エジプト人がヘブル人を地べたになぐり倒しているところへ、出くわしたのです。 自分と同じヘブル人がやられている。 そう思うと見過ごせません。 

12. 急いであたりを見回し、だれも見ていないのを確かめると、そのエジプト人を殺し、死体を砂の中に隠しました。

13.  次の日もまた、ヘブル人を訪ねましたが、今度はヘブル人同士でけんかしています。 「同じヘブル人なのに仲間をなぐるとは、いったいどういうつもりだ。」 モーセは悪いほうの男を責めました。

14.  男も負けてはいません。 「ふん、いらぬおせっかいよ。 だいたい、そういうおまえこそ何者だい。 まるで王様か裁判官みたいな口をきくじゃないか。 きのうのエジプト人だけじゃ足りず、おれまで殺そうってのかい。」 あんなに用心したのに、きのうの事がばれているのです。 モーセは非常に不安になりました。 

15. そして心配したとおり、エジプト人殺害の話は、王の耳にも達したのです。 王は、「直ちにモーセを逮捕し、処刑せよ」と命じました。 絶体絶命です。 モーセはミデヤン(アラビヤ半島の北西部、アカバ湾沿岸)の地へ逃げることにしました。 こうして、とある井戸のかたわらに座っていると、 

16. ミデヤンの祭司の娘が七人、水くみにやって来ました。父親の羊の群れに飲ませるのです。 ところが、いよいよ水おけに水をくみ始めると、 

17. あとから来た羊飼いたちが、娘たちを追い払いにかかるではありませんか。 そこで、モーセは彼女らに手を貸し、群れに水を飲ませました。

18.  家へ戻った娘たちに、父親のレウエルが尋ねました。 「おや、きょうはばかに早いじゃないか。 どうしたんだね。」

19.  「いつものように羊飼いたちがじゃましようとしたら、あるエジプト人が助けてくれたの。 羊飼いを追い払って、羊に飲ませる水までくんでくれたんです。」

20.  「ほほう、親切な人だな。 で、その人はどこにいる? ちゃんとお連れしたんだろうね。 さ、早く入っていただいて、お食事を差し上げなさい。」

21.  レウエルにいっしょに住んでほしいと言われ、モーセも申し出を受け入れることにしました。 レウエルは娘の一人チッポラを妻として与えました。 

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