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出エジプト記 2:7-19 リビングバイブル (JLB)

7.  それを見ていた姉が、この時とばかり王女のそばへ駆け寄りました。 「王女様、その赤ちゃん、お育てになりますか? だったら、お乳をあげる女がいりますよね。 だれかヘブル人の女の人を捜して来ましょうか?」

8.  「よく気のつく子だね。 そうしておくれ。」 王女の返事を聞いて、少女はうれしくてたまりません。 家へ飛んで帰り、母親を呼んで来ました。

9.  「お礼は十分しますから、この子を連れて行って、私の子として育ててください。」 王女は子供の実の母親とも知らず頼みました。 もう何の遠慮もいりません。 彼女は子供を抱いて家へ帰りました。

10.  やがて、その子は大きくなり、養子として正式に、王女のやしきへ引き取られました。 王女は彼をモーセ〔「引き出す」の意〕と名づけました。 水の中から引き出した子供だからです。

11.  それから何年かたちました。 モーセはりっぱに成長し、一人前の大人になっていました。 ある日、彼は同胞のヘブル人を訪ねようと外出したのです。 ところが、目にしたのは、あまりにもひどい有様でした。 初めて同胞の苦しみを知ったモーセの血は騒ぎました。 ちょうどその時、エジプト人がヘブル人を地べたになぐり倒しているところへ、出くわしたのです。 自分と同じヘブル人がやられている。 そう思うと見過ごせません。 

12. 急いであたりを見回し、だれも見ていないのを確かめると、そのエジプト人を殺し、死体を砂の中に隠しました。

13.  次の日もまた、ヘブル人を訪ねましたが、今度はヘブル人同士でけんかしています。 「同じヘブル人なのに仲間をなぐるとは、いったいどういうつもりだ。」 モーセは悪いほうの男を責めました。

14.  男も負けてはいません。 「ふん、いらぬおせっかいよ。 だいたい、そういうおまえこそ何者だい。 まるで王様か裁判官みたいな口をきくじゃないか。 きのうのエジプト人だけじゃ足りず、おれまで殺そうってのかい。」 あんなに用心したのに、きのうの事がばれているのです。 モーセは非常に不安になりました。 

15. そして心配したとおり、エジプト人殺害の話は、王の耳にも達したのです。 王は、「直ちにモーセを逮捕し、処刑せよ」と命じました。 絶体絶命です。 モーセはミデヤン(アラビヤ半島の北西部、アカバ湾沿岸)の地へ逃げることにしました。 こうして、とある井戸のかたわらに座っていると、 

16. ミデヤンの祭司の娘が七人、水くみにやって来ました。父親の羊の群れに飲ませるのです。 ところが、いよいよ水おけに水をくみ始めると、 

17. あとから来た羊飼いたちが、娘たちを追い払いにかかるではありませんか。 そこで、モーセは彼女らに手を貸し、群れに水を飲ませました。

18.  家へ戻った娘たちに、父親のレウエルが尋ねました。 「おや、きょうはばかに早いじゃないか。 どうしたんだね。」

19.  「いつものように羊飼いたちがじゃましようとしたら、あるエジプト人が助けてくれたの。 羊飼いを追い払って、羊に飲ませる水までくんでくれたんです。」

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