チャプター

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  3. 3
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旧約聖書

新約聖書

ダニエル書 4 リビングバイブル (JLB)

1. ネブカデネザル王は、次のような声明文を、当時の世界の諸国、諸国語の民に送りました。諸国民に告ぐ。

2. いと高き神様が、余に行なわれた不思議なみわざについて、知らせたいと思う。 

3. それは信じ難いほどの奇蹟であった。 今こそ、この神様の王国が永遠のものであることを、余ははっきり知った。その神様の支配は永遠に変わらない。

4. 余は、平安と繁栄をむさぼりながら生きていた。 

5. ところが、ある夜、非常に恐ろしい夢を見た。 

6. そこで、バビロン中の知者という知者を集めて、夢の解き明かしをさせることにした。 

7. 呪法師、占星学者、占い師、天才などと言われる者が、みな集まった。 その席で、余の夢のことを話したが、だれも解き明かせなかった。 

8. 最後に、ダニエルが来た。 余は自分の神の名にちなんで、彼にベルテシャツァルと名をつけたが、この者には聖なる神の霊が宿っていたのだ。 そこで余は、ダニエルに夢のことを話した。

9. 「おお、呪法師の長ベルテシャツァル。 余はおまえのうちに聖なる神の霊が宿っており、どんな秘密も見事に解き明かせるのを知っているぞ。 余の夢の意味を教えてくれ。

10-11. 余は野原に立っている大木を見た。 その木は天へ向かってどんどん伸び、ついに世界中の人々が、どこからでも見えるほどになった。 

12. 葉は青々と茂り、枝にはすべての人が食べても足りるほど、実がたわわになっていた。 野の動物はその木陰にいこい、鳥はその枝を住みかとし、全世界がその木によって養われた。 

13. 以上のようなことを夢で見ていると、神様の使いの一人が天から降りて来るのが見えた。

14. その御使いはこう叫んだ。 『その木を切り倒し、枝を切り払え。 また、葉を振り落とし、実をまき散らせ。 動物を木陰から、鳥を枝から追い払え。 

15. だが、切り株と根は残し、鉄と青銅の鎖をかけて、野の若草の中に置け。 天の露にぬれさせ、野の動物といっしょに草を食べさせるのだ! 

16. 七年間、人の心ではなく動物の心を持たせるがよい。 

17. これは見張り人たちの宣告であり、聖なる者たちの命令である。 このように宣言するのは、いと高き神が、世界の国々を支配し、みこころのままに、人間の中で最もへりくだった者にさえ、その国々をお与えになるということを、全世界が知るためである。』

18. ベルテシャツァルよ。 以上が余の見た夢だ。 さあ、その意味を教えてくれ。 おまえのほかに、教えてくれる者はいない。 この王国で最も知恵のある者もだめだ。 だが、おまえには聖なる神の霊が宿っているので、教えることができる。」

19. その時ダニエルは、しばらくの間、その夢の意味に度肝を抜かれ、おびえてひと言も口をきけなかった。 ついに、余が口をひらいた。 「ベルテシャツァル、恐れることはない。 夢の意味を話してくれ。」ダニエルは答えた。 「この夢の示していることが、陛下にではなく、陛下の敵にあてはまるのならよろしいのですが……。 

20-22. 実は、陛下が夢でご覧になりました木、青々とした葉をいっぱい茂らせ、みんなが食べても足りるほど実をたわわにつけ、その陰には野獣が住まい、枝には鳥がいっぱいに宿り、世界中の人々に見えるように天にまで達した高い木は、陛下ご自身でございます。 陛下は強く、大きくなり、その偉大さは天にまで達し、その支配は地の果てにまで及びます。

23. 陛下は、神様の使いが天から降りて来て、こう言うのをお聞きになりました。 『この木を切り倒して滅ぼせ。 ただし、切り株と根は若草に囲まれたまま残し、鉄と青銅の鎖をかけておけ。 天の露にぬれさせ、七年間、野の動物たちといっしょに草を食べさせよ。』

24. 陛下。 これはいと高き神様がお定めになったことですから、必ず起こります。 

25. 陛下の国民が陛下を宮殿から追い出します。 陛下は動物のように野に住んで、牛のように草を食べ、その背中は天の露でぬれるでしょう。 いと高き神様が人間の国々を支配し、お選びになった者に支配権をお与えになるということを、陛下が悟るまで、七年間、こんな生活が続きます。 

26. ただし、切り株と根とは残されます。 その意味は、天の神様が支配しておられることを陛下が悟った時、国を返していただける、ということでございます。

27. ネブカデネザル王よ、お願いでございます。 どうぞ、罪を犯しませんように。 正しいことを行ない、貧しい者をあわれんでください。 そうすれば、あるいは神様のお赦しがあるかもしれません。」

28. ところが、これらのことがみな、余の身に起こったのだ。 

29. この夢を見てから十二か月後のことだ。 余は、バビロンの王宮の屋上を歩きながら、 

30. こう言った。 「余は自分の力で、この美しい都を、王宮のある町、帝国の首都に建て上げたのだ。」

31. このことばを語り終えないうちに、天から声があった。 「ネブカデネザル王よ。 おまえに宣告する。 おまえはもう、この国の王ではない。 

32. 宮殿から追い出され、七年間、野の動物たちとともに住み、牛のように草を食べて生活するのだ。 それで、やっと、神様が人間に国々を分け与え、お選びになった者に国をお与えになることを悟るだろう。」

33. そのことは、すぐ実現した。 余は宮殿から追われ、牛のように草を食べ、体は露でぬれ、髪の毛はわしの羽のように長くなり、爪は鳥の爪のようになったのだ。

34. 七年目の終わりに、余は天を見上げた。 すると、正気に戻ったので、いと高き神様を賛美し、礼拝した。 そして、永遠に生きておられる方、その御国の支配が代々限りなく続くお方を、心からほめたたえた。 

35. 神様に比べれば、地上の人間はみな無に等しい。 神様は、天の御使いたちの中にあっても、地上に住む人々の中にあっても、最善と思われることを行なってくださる。 それに対して、「どうして、こんなことをなさるのですか」と言って、神様に挑戦したり、神様をとどめたりはできない。 

36. 正気に戻った時、余の名誉も、光栄も、王国も戻って来た。 参議官も役人も戻って来てくれたので、余は以前にもまさる栄誉に包まれ、王位を確立することができたのだ。

37. ここに今、余は、そのなされることがすべて正しく善である方、すべての者をおさばきになる方、天の王を賛美し、ほめたたえる。 そのお方は、思い上がって歩む者を手玉に取り、ちりの中に押し込めてしまわれるのだ