旧約聖書

新約聖書

サムエル記下 13:1-17-18 リビングバイブル (JLB)

1.  ダビデの息子の一人、アブシャロム王子には、タマルという美しい妹がいました。 ところが、タマルの異母兄にあたるアムノン王子が、彼女に深く思いを寄せるようになったのです。 

2. アムノンはタマルへの恋に苦しみ、床についてしまいました。 未婚の娘と若者とは厳格に隔てられていて、話しかける機会さえなかったからです。

3. ところで、アムノンには、悪賢い友人が一人いました。 ダビデの兄シムアの息子で、いとこにあたるヨナダブです。

4.  ある日、ヨナダブはアムノンに尋ねました。 「何か心配事でもあるのかい。 どうして、王子ともあろう者が、日に日に、それほどやつれていくんだね。」アムノンは打ち明けました。 「ぼくは異母妹のタマルを愛してしまった。」

5.  「なんだ、そうか。 じゃあ、よい方法を教えてやろう。 床に戻って、仮病を使うんだ。 父君ダビデ王が見舞いに来られたら、タマルをよこして、食事を作らせてくださいと頼めよ。 タマルのこしらえたものを食べればきっとよくなる、と申し上げるんだ。」 ヨナダブはこう入れ知恵しました。

6.  アムノンは言われたとおりにしました。 王が見舞いに来ると、「妹タマルをよこして、食事を用意させてください」とだけ願い出たのです。 

7. ダビデはうなずき、タマルに、アムノンの住まいへ行き、何か手料理をごちそうしてやってくれ、と頼んだのです。 

8. タマルはアムノンの寝室を訪れました。 アムノンは、タマルが粉をこねてパンを作る姿を、じっと見つめていました。 タマルはアムノンのために、特においしいパンを焼き上げたのです。 

9. ところが、それをお盆に載せてアムノンの前に差し出しても、口に入れようとしません。アムノンは召使に、「みんな、下がってくれ」と命じたので、一同は部屋から出て行きました。

10.  すると、彼はタマルに言ったのです。 「もう一度、そのパンをこっちに運んで来て、食べさせてくれないか。」 タマルは言われるままに、そばへ行きました。 

11. ところが、目の前に立ったタマルに、アムノンは、「さあ、タマル。 おまえはぼくのものだ」と詰め寄ったのです。

12.  彼女はびっくりして叫びました。 「おやめになって、ね、こんなばかなこと。 お兄様! いけないわ。 イスラエルでは、それがどれほど重い罪か、ご存じでしょう。 

13. こんな辱しめを受けたら、私、どこにも顔出しできません。 お兄様だって、国中の笑い者になりますわ。 どうしてもというのなら、今すぐにでも、お父様に申し出てちょうだい。 きっと二人の結婚を許してくださるわ。」

14.  しかし、アムノンは耳を貸そうともせず、むりやり、タマルを自分のものにしてしまったのです。 

15. すると、突然、彼の愛は憎しみに変わりました。 それは、先にいだいた愛よりも激しいものでした。「さっさと出て行け!」 アムノンはどなりました。

16.  タマルも必死です。 「とんでもない! 今、私を追い出したりなさったら、たった今のお振る舞いより、もっと大きな罪を犯すことになるのよ。」しかしアムノンは、聞く耳を持たなかったのです。 

17-18. 召使を呼ぶと、「この女を追い出し、戸を閉めてくれ」と命じました。タマルは放り出されてしまいました。 当時、未婚の王女は、みな袖のある長服を着ていましたが、 

完全な章を読みます サムエル記下 13