チャプター

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  22. 22
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  24. 24

旧約聖書

新約聖書

ルカによる福音書 6 リビングバイブル (JLB)

1.  ある安息日のことです。 イエスと弟子たちは麦畑の中を歩いていました。 弟子たちは歩きながら、麦の穂を摘んでは、手でもみ、殻を取って食べました。

2.  パリサイ人たちが目ざとくそれを見つけ、抗議しました。 「どう見ても違反だ! お弟子たちのやってることは何です? 明らかに刈り入れじゃないか。 安息日の労働はユダヤのおきてで禁じられているというのに。」

3.  イエスは、お答えになりました。 「聖書(旧約)を読んだことがないのですか。 ダビデ王とその家来たちが空腹になった時、どうしたでしょうか。 

4. ダビデ王は神殿に入り、主に供えられた特別なパンを取って食べたではありませんか。 これはおきてに反することでしたが、自分ばかりか、家来たちにも分けてあげました。」 

5. また、こうも言われました。 「わたしは安息日の主です。」

6.  今度は別の安息日のことです。 イエスは会堂で教えておられました。 ちょうどそこに、右手の不自由な男が居合わせました。 

7. 安息日だというので、法律の専門家やパリサイ人たちは、イエスがこの男を治してやるかどうか、うの目たかの目で見ています。 何とかしてイエスを訴える口実を見つけようと、必死だったのです。

8.  彼らの魂胆を見抜いたイエスは、その男に、「さあ、みんなの真ん中に立ちなさい」とお命じになりました。 男が言われたとおりにすると、 

9. イエスはパリサイ人たちに、「ひとつ聞きたいのですが、安息日に良いことをするのと悪いことをするのと、どちらが正しいでしょうか。 人のいのちを救うのと、いのちを奪うのと、どちらが正しいでしょうか」とお尋ねになりました。

10.  それから、会衆をぐるりと見回し、男に、「さあ、手を伸ばしなさい」とおっしゃいました。 そのとおりにすると、なんと、右手はすっかりもとどおりです。 

11. これを見たパリサイ人たちは逆上し、イエスを殺そうとたくらみ始めました。イエス、十二人を選ぶ

12.  それからまもなく、イエスは山へ行き、徹夜で祈られました。 

13. 夜明けごろ、弟子たちを呼び寄せると、特に十二人を選び、「使徒」という名をおつけになりました。 

14-16. 十二人の名前は次のとおりです。シモン〔イエスはペテロともお呼びになりました〕、アンデレ〔シモンの兄弟〕、ヤコブ、ヨハネ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、ヤコブ〔アルパヨの息子〕、シモン〔「熱心党」という急進派グループのメンバー〕、ユダ〔ヤコブの息子〕、イスカリオテのユダ〔後にイエスを裏切った男〕。

17-18. イエスは弟子たちといっしょに山を降り、広々とした所にお立ちになりました。 するとほかの大ぜいの弟子と群衆が駆け寄り、たちまちイエスの回りは、人の波でうずまりました。 ユダヤ全地、エルサレム、はるか北のツロやシドンの海岸地方などから、イエスの話を聞き、また病気を治してもらおうと、はるばるやって来た人ばかりです。 悪霊に苦しめられている人もいたので、イエスは治されました。 

19. だれもがみな、イエスにさわろうと押し合いへし合いの大騒ぎです。 さわれば、病気を治す力がイエスから出て、どんな病気もいやされたからです。

20.  それからイエスは、弟子たちのほうをふり向き、話し始められました。「あなたがた貧しい人は幸福です。 神の国はあなたがたのものだからです。 

21. いま空腹な人は幸福です。 やがて十分満足するようになるからです。 泣いている人は幸福です。 もうすぐ笑うようになるからです。 

22. わたしの弟子だというので、憎まれたり、追い出されたり、悪口を言われたりするなら、なんとすばらしいことでしょう。 

23. そんなことになったら、心から喜びなさい。 躍り上がって喜びなさい。 やがて天国で、目を見張るばかりのごほうびが、いただけるからです。 そして、同じような扱いを受けた、昔の預言者たちの仲間入りができるのです。

24.  これとは反対に、金持ちたちを待ち受けているのは悲しみだけです。 彼らの幸福はこの地上限りのものだからです。 

25. 肥え太り、今は栄えていても、やがて恐ろしい飢えの日が来れば、彼らの大笑いは、一瞬にして悲しみに変わるでしょう。 

26. ほめそやされる者はあわれです。 偽預言者はいつの時代でも、そのような扱いを受けたからです。

27.  いいですか、よく聞くのです。 敵を愛しなさい。 あなたがたを憎む者によくしてやりなさい。 

28. あなたがたをのろう者の幸福を祈ってあげなさい。 あなたがたを侮辱する者に神の祝福を祈り求めなさい。

29.  もしだれかが頬をなぐったら、もう一方の頬もなぐらせなさい。また、もしだれかが上着を取ろうとしたら、下着もつけてやりなさい。 

30. 持ち物は何でも、ほしがる人にやりなさい。 盗難にあっても、それを取り返そうとやきもきしてはいけません。 

31. 人からしてほしいと思うことを、そのとおり人にもしてあげなさい。

32.  愛してくれる人だけを愛したところで、ほめられたことでも何でもありません。 神を知らない人でさえ、それぐらいのことはします。 

33. よくしてくれる人にだけ、よくしたところで、何の意味があると言うのでしょう。 罪人でさえ、それぐらいのことはします。 

34. また、返してもらえる人にだけお金を貸したところで、善行と言えるでしょうか。 全額戻るとわかっていれば、どんな悪党でも、仲間にお金を貸してあげます。

35.  敵を愛しなさい。 よくしてあげるのです。 返してもらうことなど当てにせず、気前よく貸してあげなさい。 そうすれば、天から、すばらしいごほうびがいただけます。 神の子供になれるのです。 神は、恩知らずの者や極悪人にも、あわれみ深い方だからです。

36.  天の父と同じように、あわれみ深い者になりなさい。 

37. 人のあら捜しをしたり、悪口を言ったりしてはいけません。 自分もそうされないためです。 人には広い心で接しなさい。 そうすれば、彼らも同じようにしてくれるでしょう。 

38. 与えなさい。 そうすれば与えられます。 彼らは、ますに押し込んだり、揺すり入れたりしてたっぷり量り、あふれるばかりにして返してくれます。 自分が量るそのはかりで、自分も量り返されるのです。」

39.  イエスはさらに、もう一つのたとえ話をなさいました。「盲人が盲人の道案内をしたら、どうなるでしょう。 一人が穴に落ち込めば、もう一人のほうも巻き添えを食うでしょう。 

40. 生徒が先生より偉くなれますか。 しかし、一生懸命勉強すれば、先生と同じぐらいにはなれます。

41.  また、自分の目に材木が入っているのに、どうしてほかの人の目の中にある、おがくずほどの小さなごみを気にするのでしょう。 

42. 材木がじゃまで、よく見えもしないのに、どうして、『目にごみが入ってるよ。 取ってあげよう』などと言うのでしょう。 偽善者よ! まず自分の目から材木を取り除きなさい。 そうすれば、はっきり見えるようになって、ほかの人の小さなごみを取ってあげることもできるのです。

43.  おいしい実をつける木が、まずい実をつけるはずはないし、まずい実をつける木が、おいしい実をつけるはずもありません。 

44. つまり、木は実によって見分けることができるのです。 いばらにいちじくの実はならないし、野ばらにぶどうの実もなりません。 

45. 良い人は良い心から良い行ないを生み出します。 悪い人は隠された悪い心から悪い行ないを生み出します。 心に秘めたことが、ことばになってあふれ出るからです。

46.  なぜ、『主よ、主よ』と呼びながら、わたしに従おうとはしないのですか。 

47. そばに来て、わたしの教えを聞き、そのとおり実行する人はみな、 

48. 地面を深く掘つて、岩の上に土台をすえ、その上に家を建てる人のようです。 洪水になり、激流に洗われても、家はびくともしません。 土台がしっかりしているからです。

49.  しかし、わたしのことばを聞いても実行しない人は、ちょうど、土台なしで家を建てる人のようです。 激流が押し寄せると、家はあとかたもなく、こわれてしまいます。」すばらしい奇蹟