30. 「やつが犯罪人でないなら、逮捕したりはいたしません!」彼らも負けずにやり返します。
31. 「そうか。 だったら、おまえたちが裁判したらよかろう。 おまえたちの法律に従ってな。」「お忘れですか。 私どもにはこの男を死刑にする権利はないのですよ。 ぜひとも閣下のご承認がいただきたいですな。」
32. こうして、自分がどのような方法で処刑されるか、イエスが前もって話しておられたことが、現実となったのです(マタイ二○・一九参照)。
33. ピラトは官邸内に戻ると、イエスを呼び寄せて尋ねました。 「おまえはユダヤ人の王か。 どうなんだ。 ええっ。」
34. 「はて、王といわれましても……。 普通の意味での王ですか。 それとも、ユダヤ人の言う王でしょうか。」
35. ピラトは頭にきて言い返しました。 「なにっ! 私がユダヤ人だとでも言うつもりか。 おまえをここに引っ立てて来たのは、ユダヤ人と祭司長どもなんだぞ。 いったいどうしたのだ。 何をしでかしたのか。」
36. 「わたしは地上の王ではありません。 もし地上の王であったら、逮捕された時、弟子たちは戦いをいどんだでしょう。 わたしの国はこの世のものではないのです。」