チャプター

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  2. 2
  3. 3
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  5. 5
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  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
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旧約聖書

新約聖書

マルコによる福音書 8 リビングバイブル (JLB)

1.  そのころ、またおびただしい群衆が集まって来ましたが、みんなの食べる物がなくなったので、 

2. イエスは弟子たちを呼んで言われました。 「この人たちがかわいそうです。 もう三日も、わたしといっしょにいるのだから、食べ物はとっくにないはずです。 

3. このまま帰らせたら、きっと途中で倒れてしまいます。 中には遠くから来た人もいることでしょうし……。」

4.  「でも、先生。 こんな寂しい所で、これほど大ぜいの人たちなんですよ。 いったいどこで、食べ物を手に入れるのですか。」

5.  「パンは幾つありますか。」「七つです。」

6.  イエスは、群衆に地べたに座るようにお命じになりました。 そして七つのパンを取り、神に感謝の祈りをささげてから、ちぎって弟子たちに手渡され、弟子たちがみんなに配りました。 

7. まだ小さい魚が少しばかりあったので、これも同様に祝福してから、人々に配るよう弟子たちに手渡されました。

8-9. こうして、全員が満腹するほど食べました。 それからイエスは、人々を家にお帰しになりました。 その日集まった人の数はおよそ四千人でしたが、あとでパンくずを拾い集めると、なんと七つのかごにいっぱいになりました。ダルマヌタへ

10.  このあとすぐ、イエスは弟子たちと舟でダルマヌタ地方へ向かわれました。 

11. その地方のパリサイ人たちはイエスが来られたと知り、議論をふっかけてやろうと、勇んでやって来ました。 「奇蹟を見せたらどうだい。 天に不思議なしるしが現われでもしたら、あんたを信じようじゃないか。」

12.  このことばに、イエスは思わず、ため息をおつきになりました。「とんでもありません。 いったいどれだけ奇蹟を見れば気がすむのですか。」

13.  イエスは彼らを残して、また舟に乗り、湖の向こう岸に渡られました。 

14. ところが、弟子たちがうっかり、出発前に食べ物を用意するのを忘れたので、舟の中にある食べ物といえば、一かたまりのパンだけでした。

15.  まだ湖上にいた時、イエスは弟子たちに、厳粛なお顔で、「ヘロデ王とパリサイ人たちのイースト菌に気をつけなさい」と言われました。

16.  弟子たちは、「先生は、なぜあんなことをおっしゃったんだろう」と首をかしげましたが、結局、パンを持って来なかったからだろうということに、話が落ち着きました。

17.  弟子たちが「ああでもない、こうでもない」と言い合っているのを聞いて、イエスは言われました。 「いや、そんなことではありません。 まだわからないのですか。 なんて物わかりの悪い人たちでしょう。 

18. ちゃんと、目も耳もそろっているのに、見えも聞こえもしないのですか。 何も覚えていないのですか。 

19. 五つのパンを五千人に食べさせた時のことを。 あの時、パンくずは幾かごになりましたか。」「十二かごです。」

20.  「じゃあ、七つのパンで四千人に食べさせた時は?」「七かごです。」

21.  「それなのに、まだあなたがたは、パンがないのを、わたしが苦にしていると思うのですか。」

22.  一行がベツサイダに到着すると、人々が盲人の手を引いて来ました。 「どうか、さわって治してやってください」と頼むので、 

23. イエスはその盲人の手を取り、村の外へ連れ出されました。 そして彼の両眼につばきをつけ、手をあてて、「どうですか、何か見えますか」とお尋ねになりました。

24.  男はあたりをきょろきょろ見回しながら、「は、はい。 見えます。 見えます。 人が見えます。 ぼんやりしていますが……。 まるで、木が歩いてるみたいです」と答えました。

25.  イエスはもう一度、両眼におさわりになりました。 男はじっと見つめていました。 するとだんだん視力が回復し、何もかも、はっきり見えるようになりました。

26.  イエスは、男を家族のもとへお帰しになり、「村へは行かないように」と注意されました。イエスこそ救い主

27.  イエスの一行はガリラヤを去り、ピリポ・カイザリヤの村々へ行きました。 道々、イエスは弟子たちに、「人々は、わたしのことをだれだと言っていますか」とお尋ねになりました。

28.  「バプテスマのヨハネだと言う者もいれば、エリヤだと言う者もいます。 また昔の預言者が生き返ったと言う者もいます」と、弟子たちは答えました。

29.  するとイエスは、「では、あなたがたは、だれだと思っているのですか」とお尋ねになりました。 即座に、ペテロが、「あなた様こそキリスト(救い主)です」と答えました。 

30. ところが、イエスは、このことをだれにも話してはいけないと、きびしく言われました。

31.  それから、やがて自分が経験する恐ろしい出来事――長老、祭司長、ユダヤ人の指導者たちに捨てられ、殺され、三日目に復活することを、弟子たちに話し始めました。 

32. それも、実にはっきりとお話しになったので、ペテロはイエスをわきに呼び、「そんなことをおっしゃるものではありません」と忠告しました。

33.  イエスは、ふり返って弟子たちを見回すと、非常にきびしい口調でペテロに言われました。 「下がれ、サタン! あなたはただ人間的な見方をして、神の立場からは考えてみようともしていないのです。」

34.  それから、弟子たちと群衆とを呼び寄せ、こう言われました。 「だれでもわたしについて来たければ、自己中心の生活をやめ、自分の十字架を背負って、ついて来なさい。 

35. いのちを守ることにばかり、あくせくしていたら、かえってそれを失います。 わたしと、この神のすばらしい知らせとのためにいのちを投げ出す者だけが、生きることの意味をほんとうに知るのです。

36.  たとい全世界を自分のものにしても、いのちを失ったら、何の得があるでしょう。 

37. いのちを買い戻すどんな手だてがあるというのでしょう。 

38. だれでも、この不信仰と罪の時代にあって、わたしとわたしのことばとを恥じる者をメシヤ(救い主)のわたしも、やがて父の栄光を帯びて聖なる御使いと共に帰って来る時、恥じるのです。」栄光に輝くイエス