チャプター

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  2. 2
  3. 3
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  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
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  13. 13
  14. 14
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  16. 16

旧約聖書

新約聖書

マルコによる福音書 4 リビングバイブル (JLB)

1.  イエスが湖のほとりで教えておられると、またもや大ぜいの群衆が集まって来ました。 それでイエスは小舟に乗り、そこに腰をおろして、お話しになりました。 

2. イエスが人々に教えられる時には、たとえ話を使うのが普通でしたが、この日の話は次のようなものでした。

3.  「よく聞きなさい。 農夫が種まきをしました。 畑に種をまいていると、 

4. ある種はあぜ道に落ちました。 すると鳥が来て、その種を食べてしまいました。 

5. 別の種は土の浅い石地に落ちました。 初めは急速に生長した種も、 

6. 土が浅いため、根から十分養分を取ることができず、強烈な日差しの中で、すぐに枯れてしまいました。 

7. また、いばらの中に落ちた種もありましたが、いばらが茂って、生長をはばみ、結局、実を結べませんでした。 

8. けれども中には、良い地に落ちた種もありました。 その種は、三十倍、六十倍、いや百倍もの収穫をあげることができたのです。 

9. 聞く耳のある人はよく聞きなさい。」

10.  その後、イエスが一人になられると、十二人の弟子と、ほかの弟子たちが、そろってイエスに尋ねました。 「先生。 さっきのお話はどういう意味でしょう。」

11.  イエスはお答えになりました。 「あなたがたには、神の国の真理を知ることが許されていますが、ほかの人には隠されているのです。 

12. 預言者イザヤが言ったように、『彼らは見もし、聞きもするが、悔い改めて神に立ち返り、その罪を赦していただくことはない』のです。 

13. ところで、こんな簡単なたとえ話がわからないのですか。 こんな調子では、これから話すほかのすべてのたとえ話は、どうなることでしょう……。

14.  いいですか。 農夫とは、人々に神のことばを伝える人のことです。 このような人たちは、聞く人の心に良い種をまこうとします。 

15. ある種が落ちた、踏み固められたあぜ道とは、神のことばを聞いても心を堅く閉ざした人のことです。 すぐにサタンがやって来て、そのことばを忘れさせてしまうのです。 

16-17. 土が浅く石ころの多い地とは、最初は喜んで神のことばを聞く人の心を表わしています。 ところが、そんな地に落ちた種は、根を深くおろすことができません。 だから、初めのうちこそうまくいっても、迫害が始まると、たちまちぐらついてしまうのです。

18-19. いばらの地とは、神のすばらしい知らせに耳を傾け、それを受け入れる人の心を表わしています。 けれども、すぐにこの世の魅力、金もうけの楽しさ、成功欲、物欲のとりこになり、神のことばなどは心からはじき出されて、実を結ぶまでには至らないのです。

20.  良い地とは、神のことばをまちがいなく受け入れ、神のために、三十倍、六十倍、いや百倍もの収穫をあげる人の心を表わしています。」

21.  イエスは、続けてお話しになりました。 「せっかく灯をともしたランプに箱をかぶせ、光をさえぎる人がいるでしょうか。 もちろん、いません。 それでは意味がありませんから。 だいたいランプというものは、台の上に置き、あたりを照らしてこそ、存在価値があるのです。

22.  いま隠されているものはみな、いつかは明るみに出されます。 

23. 聞く耳のある人はよく聞きなさい。 

24. また、聞いたことは必ず実行しなさい。 そうすればするほど、わたしの言ったことがわかるようになります。 

25. 持っている人はさらに与えられ、持っていない人は、持っているわずかな物さえ取り上げられてしまうのです。

26.  神の国のたとえを、もう一つ話しましょう。ある農夫が畑に種をまいて、 

27. 家に帰りました。 日がたつにつれて、別に何もしなくても、種はどんどん生長しました。 

28. 土が種を生長させるからです。 まず芽が出て、次に穂、そして最後に実が入ります。 

29. すると、さっそく農夫が刈り取るのです。」

30.  また、こうも言われました。 「神の国をどう説明し、何にたとえたらいいでしょう。 

31. そうですね、神の国は小さなからしの種みたいです。 からしの種は、種の中でも一番小さいものですが、 

32. 生長すると、とても大きくなり、鳥が巣を作れるほどになります。」

33.  このように、イエスは多くのたとえを使い、人々の理解力に応じて教えられました。 

34. たとえを使わずに話をなさることはありませんでした。 しかし弟子たちにだけは、あとでその意味を説き明かされました。

35.  夕やみの迫るころ、イエスは弟子たちに、「さあ、湖の向こう岸に渡ろう」と言われました。 

36. 弟子たちは群衆をあとに残し、イエスの乗った小舟をこぎ出しました。 しかし、あとからついて来る舟も、何そうかありました。 

37. ところが、まもなく、恐ろしい嵐が襲って来たのです。 小舟は大波にほんろうされ、舟は水浸しです。 

38. イエスはと見れば、とものほうで眠っておられます。 弟子たちは気が気ではありません。 半狂乱のていでイエスを呼び起こしました。 「先生! 舟が沈みかけているのに、よく平気でいられますねっ!」

39.  イエスはゆっくり起き上がられると、風をおしかりになり、湖に「静まれっ!」と言われました。 するとどうでしょう。 たちまち風はやみ、湖は何事もなかったかのような大なぎになりました。

40.  イエスは弟子たちに言われました。 「どうしてそんなにこわがるのですか。 まだわたしが信じられないのですか。」

41.  弟子たちは、ただもう恐怖に打ちのめされて、「ああ、なんというお方だ。 風や湖までが従うとは!」と、ささやき合いました。イエス、悪霊を追い出す